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南参インタビュー

南参インタビュー

10年の間にお芝居の作り方は変わりましたか?

それはもう全く違いますね。最初の頃は、とにかく高校の演劇部で培ってきたことを基礎的に実践していて、とても「しっかり」作っていました。「しっかり」と言うのは・・役を演じる時に「その人」がどういう人生を歩んで来たかなど、バックボーンをしっかり考えて演じなきゃならないとか、スタッフワークは今考えると何故そんなにこだわっていたのか分からないくらい無茶な事をしていました。

波の音を決めるのに何十種類も音響に作らせて「ここでもうちょっと大きい波が欲しい!」と言ったり。卒業してからはまずそれがイヤになって「きっちり作ると言うのはどれだけ伝わっているんだろう、自己満足なのかな」と思いました。きっちり作れば作るほどそこから逃れられなくなっていく、自由度がどんどん無くなっていくという気がして。今でも理想だけど、目の前にいるお客さんとセッションしたいなぁ、自由にお芝居をしたいなぁって思っています。

それで、まず稽古はなるべくしないようにしようと思いました。あまり決めない、即興でお芝居を作っていく、流れはある程度決まっているけど細かい台詞はその日次第・・結構入り混ぜてやったりしたけど、そういう事をして本当に面白い物ができたかと言うとなかなか難しくて、そもそもお芝居の作り方が体に染み込んでいるので、それを根底から覆す事が自分は分かっていても他のメンバーはなかなかうまくいかなかった。じゃ作るところからもう1回考え直そう。同じ台詞で稽古ではある程度こういう風に作っていこうというのが決まっていても、同じ言葉を日常生活で言って毎日絶対違うし、周りにいる人間が違ったらまた違うし、と言うことが出来るようになるじゃないかなと思っていました。

だから、高校の時実践していた事を更にもっと突き詰めて考えていくと、ちゃんとバックボーンを考えて、「周りにこの人がいるからこういう言い方だ」と言う事を考えて言う、その感覚を体に染み込ませて染み込ませて忘れる、それできっと最終的にはフリージャズみたいな事ができるんじゃないかな、と思ってやっています。

旗揚げの時は即興的なものをやったりしました、当時はダンスが入ってくるお芝居が流行っていたと言うか、少なくとも札幌では結構ありました。オープニングは揃ってダンス、みたいな。俺はジャズダンス系というか、みんなで揃って前を向いて笑顔でダンスとか「笑われても・・」って思って大嫌いだったので、表現するのならダンスじゃなく他に無いかなって考えて詩を読みながらダンスしたりしました。大変だったけど。

大変?

そのダンスをしたのが旗揚げの時で、客席の照明が消えて舞台上の灯りが点くのと同時に曲が入ってダンスが始まるものだったんだけど、パッと電気が点いたのに曲が流れなくていきなり棒立ちになりました。「どーしたっ!」と思ったら曲がフェードインし始めて、「えーーーー!しかも曲、途中じゃん!」

その後皆さんパラパラと踊り始めたんですか・・?

周りを見ながら、徐々に・・。いきなり切ない!旗揚げの一番最初の回で、今でも忘れもしない・・。

どうやら音量を下げた事を忘れていて、再生を押しても音量が小さいまま流れたのでフェードインで音量を上げて流したみたいでした。苦い。・・あれは辛かった。

旗揚げの第一回目がもうそれだからいきなりつまづきました(笑)会場はラグリグラ劇場という、澄川のすごく狭い所でやったんです。アパートをぶち抜いたような、50人入ればいいという感じの所。3階は囲碁教室で、毎回そこで公演をする時は囲碁教室に「うるさいですが、すみません」とお菓子を持って行ってました。以前は下が居酒屋だったので、しんとしたシーンでは下から有線の音が聞こえたりしてました。(笑)

その他にも日替わりでダンスをしたり、オムニバスでショートコント、ショートストーリー、ダンス、そしてフリートークみたいなのも含めて10本くらいやったり、あとは・・普段は絶対に無言になる時はあるはずだけど、お芝居になるとなぜかあまり「間」がない。それはちょっと不自然すぎるかな、どれだけ間をのばせるだろうって思った時がありました。結構役者って、お客さんがどう思っているのか全く分からないから間を不安がるんです。役者自身が台詞を言ったり動いたりする事で不安を解消していたりするのを全く無くそうと思って。でも、ただじっとしているだけだとさすがにお客さんも不安がるので「‘何していいのか分からないからうろうろする’と言うのを1分間やれ」という部分をお芝居の中で何カ所か作ったりしました。

南参さんは具体的に、yhsの中でどれくらいの事を担っているんでしょうか。

色々やっています。徐々に分担させるようなシステムにしていますが、予算組みもするしチラシもTシャツのデザインも作って脚本演出も・・あとは何だろう。スタッフをお願いしたり。キャスティングもするからと言うこともあるけど、誰かいない?って周りに聞いたり、なかなか名前が出てこないのもあって出演者は大体俺が外部の役者さんに出演交渉したりしています。yhsはメンバーが20人いるけど、全員集まって会議するのはムリ!時間的にムリ!集まれて半分くらいになっちゃうんです。なので俺も含めて5人で運営委員会っていうのを作って基本的な方針は決める事にしています。代表の俺と副代表の小林エレキと制作チーフ、会計、WEBチーフのイシハラノリアキ、その5人で今年から公演スケジュールを決めていく。それを徐々にその人たちに任せてそれぞれをお互いが相談していく関係にしようとしているけど、もうしばらく時間はかかりますね。

20人のうち役者は何人ですか?

うちは結構そこが微妙で、公演によってだからスタッフも兼ねるし。完全にスタッフと言うのは音響だけかな。基本的には皆、出たがるんです。

皆さん役者からスタートしているんですか?

役者からと言うわけじゃないけど、コメディーって見せている側が楽しくないとお客さんは笑わせられないよなって思うんです。でも当日どれだけお客さんに対応できるかという自由度と言うと役者は・・yhsでは役者を「プレイヤー」と言うんですが、プレイヤーは当日その時々で演技に変化があると思うけど、なかなかスタッフはそうはいきません。「今日はこの曲を流そう」と勝手に変えられないし、照明も大道具も一度仕込んだらなかなか変えられない。そうなるとスタッフに関しては早い段階できっちり決めないといけないので、割と慎重になります。

プレイヤーは半分おだてる感じもあるので、割と稽古が楽しそうに見えるかもしれません。スタッフには結構厳しいです。どれだけ考えてきてもダメだと思ったらそれはナシ。演技だったら自分の体の問題だけだからささっと変えられるけど、例えば衣装とか小道具とかで「できました。どうですか?」と持ってこられても「ダメ!」って事になると、もう一度最初からやり直すこともあります。やっぱりお客さんに見せられなきゃいけないという責任もあるしお金もかかるしね。失敗がなかなか許されない。演技失敗してもお金はかからないけど。そういった所でシビアだと思います。


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