ご紹介に預かりました、カバラ崎長一郎です。
ええ、本日はこのようにたくさんの蝦(エビ)のみなさんにお集まりいただき、光栄の限りです。
甲殻類のみなさんにお話しするのは初めての経験ですので、失礼に当たることもあるかと思いますが、どうかその際にはご指摘いただければありがたく思います。
この時期みなさんは産卵期ということで。抱卵されている方もいらっしゃるようですので、どうか身体を楽に、可能な限りうんと伸ばして(笑)、お聞き願えればと。思います。
さて。人間は大雑把に分けて20種類を超える感覚を持つといわれます。
これらの感覚は生命の危険を回避するためのサインとして用いられるわけです。苦痛となる場合もあれば、喜びとなる場合もある。逆に言うと、我々がよろこびを伴うと感じている行動…踊ること、歌うこと、湯につかること…これらはいくつもの感覚が供応した複合体であるともいえるわけです。
では食のよろこびを構成する感覚を、現象学的にとらえてみましょう。
視覚。
道具を用いると用いざるとに関わらず、上肢にフィードバックする質感の感触。
口唇で感じる温度感覚及び触覚。
味蕾で感じる味覚と、それを組織化する脳のシェマ。
口腔内の粘膜で感じる触覚。
咀嚼に伴う圧覚のフィードバック。
食道に食べ物を送り込むときの圧覚。
唾液が分泌される感覚。
胃が満たされていく感覚。
これは大まかに抽出した要素ばかりですが、これらを体系づけ、大いなる快楽として昇華させたものが、ガストロノミー、美味学というわけです。
文学に、歴史に謳われて来た数々の美味。猿人が噛み付いたマンモスのロースト。クレオパトラの真珠のスープ、そして、ロートレックが讃えたロブスター。あ。いや、失礼。
とにかく、このように、人間は様々な感覚を抽出し、それを喜びとして昇華してきました。性的快楽は言わずもがな、バンジージャンプもまた然り。
つまり、自分の身体をおもちゃにしてきたわけですね。まあ、蝦はまた別なんでしょうけれど。あ。これは失礼。
しかし、顧みられない感覚もあります。
その1つが「脱糞」です。
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